都市と芸術の応答体
ごあいさつ
2020年からスタートした『都市と芸術の応答体』の試みを、2021年も継続していきます。
私たちの生きる都市は、少子高齢化、人口減少、多国籍化、都心への一極集中、産業構造の転換、大災害、パンデミックなど、その様相は21世紀に入り変化しつづけています。社会を拘束する文脈が大きく強く速くなりつづけていて、都市とは何なのかをとらえることすら簡単ではありません。
そのような都市に生まれる芸術とはどのようなものでしょうか。私たちはここで芸術を、美術館や劇場のなかにあるものだけではなく、人を触発する形を制作する技術とその技術の産物として広く捉えてみたいと思います。
都市に応答する芸術を考え、実践することを通じて、都市そのものを深く理解し、芸術を為す感覚で都市そのものを創造していくような地点にたどり着きたいと考えています。
そのために私たちは『都市と芸術の応答体』という場を立ち上げました。
この場では、私たちに気づきを与えてくれるゲストアーティストたちとの深い対話を軸に、都市と芸術に関わる新しい論点を探っていきます。集団的なリサーチを行うかもしれませんし、実験的なアートプロジェクトをつくることになるかもしれません。
昨年度は「土木と詩」というコンセプトを議論の中から生み出し、都市を映像で捉えていく理論と方法を構築していきました。
「都市」や「芸術」の捉え方を創造的に拡張していくために、昨年度に引き続き多様な専門性のバックグラウンドの方の参加を期待します。
また、オンラインという状況を活かし、世界の多様な場所から参加ができる場としたいと考えています。互いの対話から、言葉を鍛え、眼を鍛え、さまざまな芸術の制作実験をしていく、集団的試行の場をみなで育てあげていきたいと思います。
藤原徹平・平倉圭
開催概要
募集条件
- 対象者
- ・文化芸術・文化行政・まちづくりの分野で活動する方
・社会や都市への意識を持つアーティスト、クリエイター
・実践を通してアートマネジメントを学びたい方
・分野を超えて芸術を考えたい学生、研究者、社会人
・隔週水曜日開催のオンラインミーティングに参加ができる方
- 受講方法
- zoom等を利用したオンライン。一部オンサイトの活動も予定
- 参加費
- 無料
- 定員
- 30名程度(人数が多い場合は、選抜を実施する可能性があります)
- 募集期間
- 4/22 17:00~5/5 23:59まで
※5/8中に選抜結果をメール通知いたします
- 申込方法
- 下記の項目を申込フォームへ記入してお送りください。
※5/5 23:59を持ちまして、応募は締め切りました。
(1) 氏名・年齢・職業・性別
(2) 活動がわかるウェブページなどのリンク(任意)
(3)「身体と場所」についてあなたが考えていることを教えてください。
(4)「集団的に物を考えること・作ることについてどんな興味がありますか?」
(5)「最近かっこいいと思っているモノやコトの画像3点」
(6) 参加可能な頻度や日程(通年で参加可能、〇月頃は参加できない、等)
スケジュール
2021年5月~2022年2月
ディレクター
藤原徹平
FUJIWARA Teppei
建築家
1975年横浜生まれ。横浜国立大学大学院Y-GSA准教授。フジワラテッペイアーキテクツラボ主宰。一般社団法人ドリフターズインターナショナル理事。
横浜国立大学大学院修士課程修了。建築や都市のデザイン、芸術と都市の関係を研究・実践している。主な作品に「クルックフィールズ」、「那須塩原市まちなか交流センター」、「京都市立芸術大学移転設計」、「ヨコハマトリエンナーレ2017会場デザイン」、「リボーンアートフェイスティバル2017会場デザイン」など。受賞に横浜文化賞 文化・芸術奨励賞 日本建築学会作品選集新人賞など。
平倉圭
HIRAKURA Kei
芸術学研究者(近現代美術、パフォーマンス、映画)
1977年生まれ。横浜国立大学大学院Y-GSC准教授。
国際基督教大学卒。東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。博士(学際情報学)。芸術の制作プロセスにはたらく物体化された思考を研究している。最近はダンス研究を少しずつ。著書に『かたちは思考する―芸術制作の分析』(東京大学出版会、2019年)、『ゴダール的方法』(インスクリプト、第二回表象文化論学会賞受賞)、『オーバー・ザ・シネマ 映画「超」討議』(共著、フィルムアート社)ほか。
ゲストアーティスト
三宅唱
MIYAKE Sho
映画監督
1984年北海道生まれ。一橋大学社会学部卒業、映画美学校フィクションコース初等科修了。主な長編映画に『ワイルドツアー』(2018)、『きみの鳥はうたえる』(18)など。最新作はNetflixオリジナルドラマ『呪怨:呪いの家』(20)。他に鈴木了二との共同監督作『物質試行58:A RETURN OF BRUNO TAUT 2016』(16)やビデオインスタレーション作品として「ワールドツアー」(18/山口情報芸術センター[YCAM]との共作)、「July 32,Sapporo Park」(19/札幌文化芸術交流センターSCARTSとの共作)などを発表している。
柴崎友香
SHIBASAKI Tomoka
1973年大阪府生まれ。小説家。2000年に刊行されたデビュー作『きょうのできごと』が行定勲監督により映画化され話題となる。2007年『その街の今は』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、織田作之助賞大賞、咲くやこの花賞、2010年『寝ても覚めても』で野間文芸新人賞、2014年に『春の庭』で芥川賞を受賞。小説作品に『ビリジアン』『パノララ』『わたしがいなかった街で』『週末カミング』『千の扉』『公園へ行かないか? 火曜日に』、エッセイに『よう知らんけど日記』『よそ見津々』など著書多数。
昨年度の活動
昨年度の映像撮影・編集のワークショップの中で三宅唱氏が制作した映像作品『土手』と『ひらく』を公開します。
『土手』三宅唱(2020)
『ひらく』三宅唱(2020)
あわせて、昨年度の活動の最後に開催したオンラインイベント「RAUフェス2020-2021」のアーカイブ映像を公開致します。
ビューイングでは受講生がワークショップを通じてつくった映像を観ながら議論を行い、映像編集ライヴパフォーマンスでは、当日行った撮影ワークショップで集まった素材をもとに、三宅唱氏が映像編集する様子をライヴで公開しました。
制作された映像作品『崖』と合わせて是非ご覧ください。
「RAUフェス2020-2021」DAY1 ビューイング
「RAUフェス2020-2021」DAY2 映像編集ライヴパフォーマンス
『崖』三宅唱(2021)